2006年06月04日

ATS作動トラブル頻発

(今回の記事にはATSが絡みますが、技術よりも社会問題に軸足を置いているため、一連のATS記事の範ちゅうには加えません)

ATS緊急停止62件 JR広島管内(中国新聞5/12報道)

 カーブ等、速度を落とす必要のある箇所に、ATS(自動列車停止装置)の速度照査地上子の設置が進んでいますが、この地上子によりATSが作動して列車が緊急停止するというトラブルが、JR西日本の広島地区で頻発しているとのことです。
 現在のところ、ATSに異常があるわけではなく、正常に作動した結果生じたトラブルのようですが、ハード(設備)面・ソフト(社内体制)面の双方で問題を抱えているようです。

 記事によれば、以下のような状況のようです。

(1) 「ATSが作動しても安全面での問題はない」とJRは認識しており、ATSの設定値(=速度照査地上子の設置間隔?)を見直す考えはない。
→ 運転士には設定速度の周知を徹底するが、具体的な対策は表明せず、「慣れれば徐々に事故は減る」との認識。

(2) 運転士がブレーキをかけるタイミングには個人差があり、全ての列車が同じパターンで減速していくとは限らない。
→ その結果、制限速度内であっても速度超過とみなされ、ATSが作動することがある。


 以下は、上記(1)(2)に対する私の考え方です。

(1)' 「ATSが作動しても安全面での問題はない」との認識は適切でないでしょう。
 ATSが作動した場合には非常ブレーキがかかり、場合によっては乗客が転倒し、負傷する可能性もあります。
 ATSを作動させることは「事故発生を防ぐための最終手段」であり、簡単にATSを作動させるべきではありません。
 場所によっては、ATSの設定を変更する(=作動速度を多少引き上げる)ことを考えてもよいでしょう。(理由は(2)'で述べます)

 また、「慣れれば徐々に事故は減る」のように悠長に構えられる話ではないでしょう。
 設定速度を運転士に周知徹底することは勿論重要ですが、慣れるのを待つまでもなく、ATSが作動することの重大性をしっかりと認識させ、不用意な作動を防ぐための具体的な運転方法を周知するための教育が必要でしょう。

(2)' ATSの速度照査地上子は通常、速度設定に多少余裕を持たせて(=本来の制限速度よりも少し高めの速度でないとATSが作動しないように)設置してあるはずです。
 これは、運転士ごとの個人差などを考慮してのことと思われます。
 広島地区で今回、このようなトラブルが頻発したことを考えると、広島地区では上記の余裕があまり取られていないのでは?…とも考えられます。
 カーブやポイントの制限速度は通常、「乗り心地を損ねない限界」を考慮して設定されているとのことで、この制限速度を多少超過しても、直ちには安全性を損ねない区間が殆どのようです。
 以上のことを考慮すると、速度設定にある程度の余裕を持たせることを広島地区でも検討しても良いのでは?…と考えます。
 (勿論それであっても、運転士が本来の制限速度を遵守して運転すべきであるということは、いうまでもありませんが…)


 JR西日本ではこれまで(福知山線事故の時など)にも、トラブルの原因を現場職員へ求める(そして、幹部職員が責任回避を図る)ような姿勢がたびたび見受けられましたが、今回もそのような姿勢を感じてしまいました。
 JR西日本では福知山線事故を受けて、職場組織の建て直しに取り組む方針であると報じられていますが、「以前と変わらない面がまだまだ残っているな…」と感じられました。
 幹部職員のこのような姿勢は、現場職員の信頼を大きく損ね、職場組織の建て直しを行う上での大きな障害となる恐れが大いにあります。
 現場職員に厳しい取り組みを求める以上は、幹部職員もそれ以上に厳しい取り組みを自らに課さなければ、現場職員の信頼を得て、職場組織を建て直すことは難しいのではないか…と考えます。
posted by たーしー at 21:42| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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