2006年08月23日

ATS速度照査のトラブル解決方策

 「JR西日本において、速度超過(というほどではないが、超過と判定されること)によりATSが作動して列車が急停止するトラブルが続発している件」については、このブログでも6/4に取り上げましたが、最近になって、この件に関する解決策が打ち出されたようです。

 この解決策とは、「ATSの速度照査機能が、従来よりも高めの速度でないと動作しないように、ATS車上装置の設定を変更する」というものです。

 今回問題となっているATS(ATS-SW)には「車上タイマー式速度照査」という機能があります。(この機能はJR西日本を始め、他のJR各社でも幅広く採用されています)
 これは、「線路上に(制限速度に見合った間隔で)2つ並べられた"ATS速度照査地上子"を通過するのに要する秒数」をATS車上装置のタイマーで測定していて、その通過秒数がタイマー設定値を下回った場合に、速度超過と見なして非常ブレーキを自動的にかけるというものです。

 JR西日本ではこれまで、タイマー設定値を「0.55秒」にしていましたが、今回、一部の車両については「0.50秒」に変更しました。(神戸新聞8/22報道による)
 これにより、従来よりも約1割ほど高い速度にならないと、ATSが作動しないようになりました。
 JR西日本によれば、「運転士の実態に合わせ調整したが、車両のブレーキの性能は高いので、安全上の問題はない」とのことです。

 以上、報道されていることなどを書いてきましたが、ここからは私の意見を書いていきます。

☆車上装置のタイマー設定値を変更することについては、ちょっと邪道な方策ではないかな…という気がしました。
(車上装置のタイマー設定値ではなく、速度照査地上子の設置間隔を(長めに)変更するのが筋と考えます。そうすれば、以下に述べる懸念が解消できます。
 作業が大変なのは勿論理解できますが、地上子設置間隔に問題があった以上は、それを適正な状態に直すのが根本的な解決方法でしょう)

(理由1)
 ATS速度照査地上子は、カーブやポイントでの脱線防止だけではなく、線路終端部や停止信号での過走防止にも用いられることがあります。
 ATSが動作する速度が1割上がった時、前者の場合はさほど問題ないでしょうが、後者の場合は果たして問題なしと言い切れるだろうか…という懸念が残ります。
 特に線路終端部の場合は、車止めの間近に設置された速度照査地上子で「10km/h」「5km/h」のような速度照査を行う場合もあるので、タイマー設定値の変更に当たっては、その車両のブレーキ性能や、走行路線の速度照査地上子設置状況などを慎重に考慮することが必要でしょう。

(理由2)
 タイマー設定値の異なる車両が社内で存在すると、運用上の混乱を来す恐れがあります。

 もっとも、これまでは「JR貨物の設定値は0.55秒」「旅客会社の設定値は0.50秒」と伝えられていたので、今回「JR西日本も0.55秒だった」という話を聞いて驚いている人は少なくないでしょうが…
 ちなみに、JR西日本の683系はJR東海に乗り入れていますが、683系のタイマー設定値はどうなっているのでしょうかね…
 (JR東海のポイント設置駅では、停止機手前に速度照査地上子を大量設置しているので、この件に関しては恐らく、JR各社の中で一番敏感なのでは…と考えます。乗り入れ他社への対応も一番厳しそうですし…)

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(参考記事)
ATSの制限速度を緩和 非常停止頻発でJR西(東京新聞の8/21報道)
改良ATS、緊急停止頻発 JR西(神戸新聞8/22報道)

(関連記事)
ATS作動トラブル頻発(6/4の当ブログ記事)
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ラベル:ATS 速度照査
posted by たーしー at 22:23| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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