2005年08月01日

JRのATS 〜東海・西日本編〜

 昨日(7/31)まで、関西へ旅行に行ってきました。(私は毎年夏休みになると、普通列車を乗り継いで関西に行っています)
 今回も例年通りの交通手段で行ってきたのですが、今年は各路線(といってもJRばかりですが…)のATS(自動列車停止装置)に注目しながら列車に乗ってみました。

 ひとくちにATSといっても、鉄道事業者・路線ごとに様々な違いがあります。(相互乗り入れでもしない限り、互換性は基本的にありません)
 JRの場合は、各社間で相互乗り入れが行われている関係で、基本的には互換性が確保されていますが、それでも、会社ごと・路線ごとに仕様の違いが若干見られます。
 (具体的なことについては、以下の資料を参照願います。)

☆ ATS−P、Ps装置の整備拡大および曲線等の速度超過防止対策の実施について(JR東日本の公式発表資料;4ページ目)
☆ ATSによる曲線速度超過対策の例(国土交通省の公式発表資料)
☆ JRのATS(私が個人的にまとめたメモ)

 今回、私が現地を見て気がついたこと・感じたことなどを、以下に述べていきます。(感じたことは、「→」の後に述べていきます。)

>> JR東海の場合
 JR東海では、在来線にはATS-P(いわゆる「新型ATS」)が一切設置されておらず、ATS-S(いわゆる「旧型ATS」)のみが設置されています。

→ 「ATS-Pを設置しないのはけしからん」という意見も多く聞かれますが、私は「ATS-Sでも、地上子をうまく設置すれば構わないのでは?」と考えています。
 (もっとも、ATS-Sの場合には効率性の面で問題があることも否定できませんが…)

☆ポイント部分の信号(絶対信号)や急カーブの手前など
 速度照査地上子(列車の速度をチェックし、速度超過の場合には非常ブレーキをかける機能を持つ)が多数設置されています。
 また絶対信号には、即時停止地上子(速度に関係なく、直ちに非常ブレーキをかける機能を持つ)も併せて設置されています。

→ 急カーブ部分に関しては、現状の方式でおおむね十分でしょう。(今後もより多くのカーブに対して設置されていくとのことなので、期待しています。)
 絶対信号部分に関しては、現状では低速域に対する防護に特化されているきらいがあるので、高速域からの防護も追加する必要があるのでは?…と考えます。
 (2005年3月に土佐くろしお鉄道宿毛駅で起きた車止め激突事故も、高速域からの防護を行っていれば防げた事故と言われています。)

☆ポイントのない部分の信号(閉塞信号)
 ロング地上子(停止現示(赤信号)の数百m手前で警報を発し、警報を5秒以上無視すると非常ブレーキをかける機能を持つ)のみが設置されています。

→ 現状の設備では不十分なのでは…?と考えます。(特に運転密度の高い名古屋・静岡近郊の場合)
 (JR各社の標準仕様に則った結果と言われていますが、不十分な対策であることは否めないでしょう…)
 ロング地上子のみが設置されている区間では、運転士が警報を聞いてから5秒以内に確認扱いをすると、その後はATSによる防護が働かず、列車がそのまま走り続けて先行列車に追突する恐れもあります。
 (1988年12月に中央線東中野駅で起きた追突事故も、このような事例です。)

 対策としては、閉塞信号直下に速度照査地上子(45km/h;注意現示(黄信号)用、25km/h;警戒現示(黄信号2つ)用)と即時停止地上子(停止現示(赤信号)用)を設置することが考えられます。
 ただし、JR各社には「無閉塞運転(信号トラブル発生時等に、停止現示の信号を15km/h以下で突破する運転方法)を容易に行いたい」という意向もあるそうです。
 ATSを解除せずに無閉塞運転を行うことを考慮するならば、即時停止地上子の代わりに、15km/hの速度照査地上子を設置してもよいでしょう。
 また、全ての閉塞信号器に上記の対策を施すのが無理ならば、運転密度の高い複線区間や、駅の手前などから優先的に設置していくことを検討してもよいでしょう。
 (駅では列車が停止するので、走行中の後続列車が追突してくるリスクも比較的高いものと考えられます。)


>>JR西日本の場合
 JR西日本では、近畿圏の多くの路線にATS-Pが設置されていますが、その多くは完全な形ではありません。
 多くの路線(東海道線・山陽線を含む)では「拠点P」という形で導入されていて、絶対信号にはATS-SとPが必ず設置されていますが、閉塞信号の一部にはATS-Sのロング地上子しか設置されていません。(そのため、追突事故のリスクを抱えています。)
 また、ATS-Pの地上設備を設置している路線であっても、ATS-Sのみ設置の車両が相当数走っているため、ATS-Sの地上設備も残しておく必要があります。
 (ちなみに拠点Pの区間では、ATS-Pを設置している車両はSとPを同時に作動させています。)

 ちなみに、ATS-Sの地上子の設置方法については、基本的にはJR東海と似通っています。
 ただし、絶対信号における速度照査地上子については、JR西日本では出発信号(ホーム部分)にはあまり設置せず、場内信号(駅入口)に重点設置しています。(JR東海は逆)

 また、ローカル線では、絶対信号には速度照査地上子を設置せず、ロング地上子と即時停止地上子(速度に関係なく、直ちに非常ブレーキをかける機能を持つ)のみを設置している箇所が殆どです。(JR北海道・東日本と同様)

→ 拠点P区間については、できるだけ早めに全ての信号にPを設置し、SとPの同時作動をやめた方がよいでしょう。
 Pの速度照査は、各列車のブレーキ性能に応じて柔軟に行っています(しかも速度超過時は常用ブレーキで制限速度まで減速)が、Sの速度照査は、一番性能の悪い列車のブレーキ性能に合わせて行っています(しかも速度超過時は非常ブレーキで完全に停止)。
 SとPを同時に作動させていると、Sの方に引きずられる形となり、Pの効率性が損なわれてしまいます。

 拠点P区間の究極的な改良方法としては、全ての信号にPの地上子と、Sの速度照査地上子・即時停止地上子を設置し、効率性と安全性の双方を確保することでしょうが、財政事情等により、現実的には厳しいでしょう。
 ただ、東海道・山陽線では運転密度が高く、しかも130km/hでの高速運転も行われているため、いつまでも現状維持というわけにも行かないでしょう。
 とりあえずは、Pの地上子は全ての信号に設置し、閉塞信号へのSの速度照査地上子・即時停止地上子は、主な箇所(駅の手前等)にのみ設置…というのが精一杯でしょうかね…

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posted by たーしー at 18:47| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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